1-4 浄土門に入る

浄土門では、今生きているこの世界で仏となることを放棄し、死後、仏の用意した世界(浄土)に生まれ変わって、その世界で仏になることを目的として設定する。ここで「浄土の存在」「死後の生まれ変わり(往生)」を信じられるかどうかが問題となる。現代の感覚からすると、このハードルによって浄土門に入ることがためらわれるかもしれない。
これは結局は「決定往生心」の確立によって解決することになる。だから入門の時点でこのことを堅く信じなければならない、ということはない。
浄土の存在や死後の浄土への生まれ変わりを信ずることは、単なる異世界、霊魂、転生の信仰とは次元が異なる。入門の時点において、後者のような意味で浄土や死後の往生を信じていても、それがそのまま浄土門の正しい信仰だとはならない。そのような異世界、霊魂、転生のような素朴な信仰が持てないことを理由に、浄土門に入るのをためらう必要はない。
しかしまた逆に、浄土あるいは死後の往生ということがすぐに信じられないからといって、これを勝手に解釈し、浄土は実はこの目の前の世界の見方を変えたものだとか、往生とは一種の精神の変革のようなものだと、安易に考えてしまうのもよくない。
浄土や往生については、そういう自分のまだ知らないことがあるのだと、伝聞による事項として仮の了承をしておけばよい。