再び念仏の現世利益

お念仏が、死後の行き先の解決ばかりでなく、この世の生き方にも影響をおよぼすのでなかったら、自分は人にお念仏をおすすめできない。そう思って、お念仏の可能性を実感しようとしてきた。
つきあたった壁は、しごとをしているとお念仏を忘れてしまうこと。
しごとの目的は、社会を維持し発展させること。人間は社会を作る動物である。人間社会は、個人を社会に組み込んで、子育てをしたり業務をしたり、社会に貢献するように作られている。それをやっている間に、お念仏を忘れてしまう。
そして見出した解決は、そういう社会活動の目的が、お念仏の目的と合致すること。これが回向発願心だと察した。もともと社会のためのこのしごとを、往生極楽のために振り向ける。つまり、お念仏しつつしごとをするこの自分の姿をとおして、乗り移っている阿弥陀仏を多くの人々に感じてもらう。また、お念仏しながらよい仕事ができることで、ますますお念仏を進める心がおこるのだ。